投資信託は、1860年代に英国で考案された歴史ある投資手段で、日本へは、約1世紀を経た後の1951年に導入されました。
その仕組みはまさに個人投資家の利便性を計るために考案されたもので、次のようなメリットがあります。
投資信託は分散投資が可能です
投資信託の運用原則の一つに分散投資があります。これは資金を一つの投資先に集中させることを避けて、多数の投資対象に分散して投資をしましょうという危険分散を目的としたルールです。
では、なぜ資金を一つの投資先に集中させてはいけないのでしょうか。考えてみてください。値上り確実といわれる株(仮にA社株としましょう)があったとしても、あなたは全財産を注ぎ込む勇気がありますか?期待通り株価が上昇すれば、あなたの財産は倍増するかもしれませんが、株価が値下がりした時には、大損害を被ることになります。さらに、A社が倒産した場合には、全財産が紙屑と化してしまいます。こんな無茶をする人はまずいません。
しかし、いくつかの株式に分散して投資をすれば、ある株式は値下がりしても、他の株式が値上りしていれば、一方の値下がり損を、もう一方の値上り益で相殺できるかもしれません。また、日本の株式と米国の株式の両方に投資した場合はどうでしょうか?低迷する日本の株式市場をよそに、米国の株式市場は上昇しており、リスク分散が有効に機能することがわかると思います。
このように投資の世界ではリスクを軽減するために投資先を分散することが基本的な考え方として定着しており、株式投資の場合には最低でも10銘柄以上に分散することが推奨されています。
しかし、個人レベルで10銘柄以上に投資するには、数百万円の資金が必要となりますので、分散投資は誰でも実行できるわけではありません。そこで、投資信託の登場となるわけです。投資信託では制度上、分散投資が義務づけられていますので、たとえ1万円の少額資金でも分散投資のメリットが享受できるわけです。
投資信託はプロが運用します
投資信託は運用のプロ集団である投資信託会社により運用されています。運用を担当する投資のプロはファンドマネージャーと呼ばれており、彼らは長年にわたって積み重ねてきた投資のノウハウ、経験、情報、理論をもとに、各ファンドの投資目的にあった運用を行います。また、投資信託会社は、世界中にネットワークを持っていますから、海外の市場についても、膨大な情報・情報網を持っています。ですから、個人レベルで収集する情報・分析力とは比べものにならないほどのリソースを保有しているのです。たとえ1万円の投資資金でも、こういったプロの力を利用できる、それが投資信託です。
投資信託は選択肢が豊富です
現在数千本の投資信託が運用・販売されています。ファンドはそれぞれ異なった正確・特徴を持っています。
安全第一に国内の公社債で運用するもの、積極的に株式の値上りを追及するもの、市場の下落局面をとらえて利益を狙うもの、特定の国や地域に的を絞って投資するもの、特定のテーマに合った商品や市場に投資するものなど本当に豊富な商品が揃っています。
もちろん、外国にだって投資可能です。米国や欧州の先進国だけでなく、中国、東南アジア、東欧、ロシア、中南米などを対象としたさまざまな投資信託がすでにラインナップされています。
国内に投資するタイプのものでも、日経平均株価などの株価指数に連動するタイプ、相場の下げ局面を捉えて益を狙うタイプ、インターネット関連の企業に的を絞って投資するタイプ、含み資産の大きい企業に投資するタイプ、ユニークなテーマに沿って投資するタイプなどさまざまです。
これだけ選択肢があれば、きっとあなたのシナリオ、見通し、資金の目的に合ったものがみつかるでしょう。
投資信託は小額から投資ができます
投資信託は最低購入金額が、1万円からと手軽に始められる点で、最も身近な投資手段といえるでしょう。
もともと投資信託は個人の少額投資では手が届かなかったような大掛かりな投資を可能にするために考え出された仕組みで、一人ひとりの拠出資金は少額でも多くの人々から資金を集めれば大きな資金をつくることができるという発想から生まれました。大きくなった資金で、さまざまな投資を行い、そこから得られた収益は、拠出資金の割合に応じて分配されるので、資金の大小にかかわらず同じ恩恵を受けることができるわけです。
投資信託が誕生したことにより、これまで大企業や富裕層でなければ受けることができなかった投資や運用のメリットを、一般の個人投資家でも享受できるようになったわけです。
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