来週の株式市場の相場見通しレポート(2023年1月21日)

株式・金融

Weekly 1月23日

日銀効果限定的、売り方は米国シフトか

18日の注目の日銀政策決定会合では「現状維持」策+共通担保オペ拡充(銀行の借入を有利にし、年限ごとの利回り差を修正し易くする)で、海外勢の国債売りは壊滅的になったと思われるが、アジア時間で円安に反転していたドル円はNYで再び130円割れの128円台で東京に帰ってきた。日本の事情だけでは、為替の基調は変わらないことを示した。

最初は、日本時間夕刻に流れたダボスでの西村経産相の発言、「投資や賃金上昇(5%+αと述べた。実効性に疑問がつく政治的発言と見られる)で経済軌道に、金融緩和終了に近付く」の発言が影響したと思ったが、その後、米経済指標の悪化が続々と出て、米金利低下などの要因が大きく、ドル安円高反転となったと見られる。

米指標では、12月小売売上高が前月比1.1%減、11月分も同0.6%減から1.0%減に下方修正された。前年同月比は+6%だが、インフレ調整をしていないので、実質的には消費者の買い控えの印象が強まった。12月鉱工業生産指数は1.3%低下(市場予想0.3%低下)、同様に11月分も-0.6%から-1.1%に下方改定された。1月の全米住宅建設業者指数は1年超ぶりに上昇したが、米大手住宅メーカーの購入者キャンセル率が2008年を上回ったと伝えられ、悲観材料に。12月卸売物価指数(PPI)は前月比0.5%下落(市場予想0.1%下落)、従来ならインフレ鎮静化材料だったが、市場は景況感悪化と評価。地区連銀経済報告(ベージュブック)は「米企業、23年の経済成長に悲観的」。パウエルFRB議長のコロナ陽性も伝わり、悲観論に拍車。

ただし、ナスダック指数は18日に8営業日ぶりの反落で、やや上昇ピッチが早かったことで、利食い売り、ないしは売り仕掛けを誘ったと見られる。この日、引けに掛けてドル円は128円台後半に持ち直した(NY時間一時127.58円)。日銀がYCCを終了させれば、米債市場が売られる(資金流出)と見られていたが、現状維持で買い戻され、米10年国債は一時9月以来の3.372%、2年債は10月以来の4.072%。2月利上げ観測がなくなった訳ではないので、需給要因がもたらした利回り低下と思われる。S&P500指数も4000ポイント乗せからの反落で、ボックス相場のイメージが強い。ドル建て日経平均は18日に205ドルを回復してきたが、為替変動に左右される要因が大きいと見られる。

次は日銀制服総裁人事に関心、そして世界は

日銀正副総裁の後任人事案は2月10日頃に国会提出と報じられた。黒田総裁の任期は4月8日だが、両副総裁は3月19日に任期満了となる。新候補の所信聴取は2月16-17日(衆院)頃の予定。”黒田時代終焉”観が強まり、3月会合も含めて、日銀は当面、大きくは動かないのではないかとの印象を与えたと見られる。ただし、先週は3営業日連続でYCC上限0.5%を超え、日銀の1月国債購入額は17日までで17兆1374億円、過去最大だった昨年6月の16兆2038億円を上回った。政策次第で波乱要素となる可能性がある。

中國GDPは22年年間+3.0%、10-12月期+2.9%(市場予想+1.8%)となった。政府目標の+5.5%前後(ただし、李克強首相主導の国務院が主張)を大きく下回ったが、習主席のメンツが潰れない程度に収まった印象。12月小売売上高が前年比1.8%減、市場予想の8.6%減ほど悪化しなかった(11月5.9%減)ことが主因と見られる。

ただし、同時に発表された61年ぶりの人口減少が嫌気され、株式市場は反落した。また、22年の不動産投資は前年比10.0%減、床面積ベースの不動産販売は24.3%減(新規着工39.4%減)。不動産問題は解決の方向が見えず、人口減は重石となる。

米市場ではGS(ゴールドマンサックス)決算が圧迫した。第4四半期決算は69%減、トレーディング収入全体は44%増だったが、投資銀行の手数料収入が48%減、ウェルスマネジメント部門収入は27%減。貸倒引当金は前年同期の3.44億ドルから9.72億ドルに急拡大。先週辺りから3200人規模のリストラを開始している。発表後、17日の株価は約8%下落、NYダウ下落に影響した。マイクロソフトの約1.1万人人員削減、1月NY州製造業業況指数が-32.9(市場予想-9.0)に急悪化したことなど不況風が吹き、インフレ観は後退した。

欧州は寒波到来、ロシアとベラルーシの合同軍事演習開始で緊張感が高まったが、「ECBが利上げペース減速を検討」と報じられ、欧州株はマチマチ小動きだった。

危うい中国頼み、欧米の中国経済復活期待強いが、難題続出も

開催中のダボス会議(16日~20日)で、IMFのゴピナート筆頭副専務理事が「中国経済は第2四半期以降に急激に回復する可能性がある」と発言するなど、欧米の”中国期待”が急激に高まっている。OPECやIEA(国際エネルギー機関)の23年需要見通しでは、ゼロコロナ解除に伴う中国の需要増により過去最高更新予想で、原油相場は強含み推移、コモディティー全般に広がっている。

前のめり的になってきているのが米国。18日のイエレン財務長官-劉鶴副首相会談を受け、2月にも米高官の相次ぐ訪中計画が伝えられる。考えられる要因は、1)米国経済のリセッション懸念を回避するために中国経済回復が必要との見方。トランプ高関税後も(コロナ禍による変動はあったが)米中貿易は拡大していると伝えられる、2)元々親中派のバイデン政権は中間選挙後の後半で関係改善を図る予定だった、3)ハンター・バイデン(長男)

スキャンダルを抑え込むために中国融和策に転換(ウクライナ積極支援も同様の狙い)、4)先端半導体規制で日蘭の合意が得られ、先端技術対中分断が実現、一般分野は抑え込む必要がなくなったとの考え、などが挙げられる。

18日、中国国家外為管理局は「海外勢は12月に73億ドルの中国債(11か月ぶりの買い越し)、84億ドルの中国株(A株)を買い越した」と発表。1月前半も合計126億ドルを買い越しと言う。23年中国経済成長率の外銀予想では、JPモルガンが+5.6%(従来+4.4%)、GSが+5.5%(同+5.2%)に引き上げた。春節休暇の入るので、一旦動きは止まるが、2-3月相場の変動要因と考えられる。

3月5日からの全人代で、現在の交渉相手である李克強首相、劉鶴副首相等は一斉に交代する。側近で固めた習3期目への懸念は依然、潜伏する。

ホンダが高級車「アキュラ」の中国生産撤退を表明した。売れなくなったためとしているが、ソニーと自動運転車を目指し、中国製チップ、部品は使えないためとも見られる。先端分野を中心に企業の撤退は続く見通し。22年の中国固定資産投資承認額は前年比約2倍の2180億ドルと発表されたが、投資を支える地方政府は、広州市などで財政難が伝えられる。不動産不況の影響で、資金調達が難航し始めている公算が大きい。

問題点は数多くあり、それほど手離しで中国楽観はできないと見られ、慎重姿勢が望まれる。

国債、ドル円、日経平均の売り攻勢一巡睨む

先々週13日の日本国債市場で、新発10年物国債利回りは一時0.545%と日銀のYCC(イールド・カーブ・コントロール)上限0.5%を突破した。日銀の指値オペを搔い潜り、かなり意図的な仕掛けの印象だ。つれて、この日ドル円は127円台、日経平均は2万6000円割れに追い込まれた。17-18日の金融政策決定会合前の16日は日銀が追加買い入れを早々と表明。

YCC終了とか、黒田総裁辞任とか、鐘や太鼓で騒々しく追い込もうとしたが、どういう勢力なのか。米IMM通貨先物建玉を見ると、10日現在で3万5377枚の円ショート・ポジションにある。前週比1万1487枚減少しているので、一気の買い戻しあるいは円ロングに転換した可能性は否定できないが、どうも普段為替市場に生息する勢力とは異なる勢力が攻勢を掛けて来た印象を受ける(例えば、昨年9月トラス英前首相を辞任に追い込んだ勢力)。

1月第1週の海外投資家は5028億円の先物売り越し(現物は640億円の小幅売り越し)だった。12月第3週からの累積は1.7兆円、先週分を合わせると2兆円超規模が想定される。先週末20日のドル建て日経平均は205.70ドルと大台維持、NT倍率は13.78倍に低下しており、日経平均先物に集中した売り攻勢と言える。

昔から、「日銀が100兆円も購入すれば国債売りは失敗する」と言われ、実際成功した試しがない。日銀は3日間で国債の買い入れを行っており、前述したように1月は17兆円と過去最大を記録した。早晩、国債の売り方は玉手当をできなくなると見られる。借債は遅くとも3月には返済シーズンを迎えると見られる。

奇妙な符号はある。昨年6月に為替円安攻防となり、財務省がド派手なドル売り介入を行った時は「外為特会の40兆円(当時)の含み益」財源活用が問題になっていた。今回は12月11日に萩生田自民政調会長が「防衛費財源”国債償還費も検討に値する”」と発言(台湾訪問中)し、財務省が「国債を不安定化させる」と反対したことから始まった様に見える。 

12月20日に日銀YCC修正から混乱が加速した。めったやたらと増税を打ち出す岸田政権に、反対を明確にしつつあるのは菅前首相も続いた。政局に発展するかどうかも注目点になろう。

海外では、11日までの1週間で債券ファンドに175億ドル、株式ファンドに72億ドルの資金が米国に流入(バンクオブアメリカ、グローバルリサーチ調べ)しており、新規(待機)資金が動き易い時期にある。次の日銀政策決定会合は3月9-10日、黒田総裁の任期終了は4月8日。次の体制を睨んで、歪み修正相場に向かうと想定される。

 

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