「お盆は海に入ってはいけない」と聞いたことはありませんか?
そして、それは単なる迷信と思っていませんか?
海や川は、精霊流しや三途の川など
“あの世”を連想させることが多く、特にお盆の時期はその思いが強くなる時期です。
昔からの言い習わし、言い伝えには、物理的にも証明できることが多く、
お盆は海に入ってはいけない、という言い伝えも実際に入ると危険なことがあるからなのです。
そろそろ、お盆休みの予定を立てたりする時期。
知っておくとためになる、先人からの教え・知恵を現代にも通じる観点からご紹介していきます。
お盆の前なら安全?最低限の海の知識を知ろう!
まず、今年、2018年のお盆の期間をおさらいしましょう。
「お盆」は、ご先祖様や亡くなった人たちの霊をまつる行事のことで、
8月13日:迎え火
8月16日:送り火
…ということで、2018年の一般的なお盆休み期間は
8月13日(月)~16日(木)ということになります。
では、覚えておきたい海水浴にまつわる諸注意をご紹介します。
土用波にご用心
土用波の土用は、「土用の丑の日」と同じです。
夏の土用の時期、大波を発生することが多く、
昔から漁師さんの間でも土用の頃は時化、と言われてきました。
現在解明されているメカニズムでは、海水温が高い夏は台風が発生しやすく、
この台風で生まれるうねりが大波となるのもので、この大波が「土用波」と呼ばれています。
2018年の土用期間は暦の上では7月20日~8月6日と
されていますが、昔の人は常日頃からの経験や観測から、
お盆の時期に海に入ることを注意するように言い聞かせてきたのでしょう。
また、土用は季節の変わり目でもあることから、土用の日を境に急に水温が下がることはあります。
1~2度水温が下がるだけでも、身体に大きな影響を与えます。
お盆時期に海に入って体温を急激に奪われ、低体温症になるなど、危険な目に遭う恐れがあることを
覚えておいてください。
大潮に要注意
「満潮」「干潮」という言葉を聞いたことがあると思いますが、
海面の高さを表現したもので、
「満潮」は波が一番高い状態、「干潮」は一番低い状態のことを指します。
満潮と干潮は一日に2回入れ代わり、この海面の周期的な変化を「潮汐(ちょうせき)」と言います。
この潮汐の差、つまり海面の高さの変化が一番大きい状態が
「大潮(おおしお)」と言われる現象で、新月や満月の前後数日間にあります。
そして、お盆の頃は月と地球の位置関係により、ちょうど大潮に当たるのです。
お盆の時期は潮の満ち引きが早く、かつ大きいため海水浴をするには危険が伴います。
お盆に海の事故が多いのは、この大潮が起因するところが多いようです。
特に、普段あまり海に慣れていなくてお盆休みに久しぶりに海に入る…という人は
充分に注意しておかないとかなり危険ですので、お盆時期はやめておいた方が良いでしょう。
実は本当…お盆に海に入ってはいけない迷信の真相は…
このように、お盆の時期に海が怖い存在になるのには物理的な理由が色々とあります。
そして、こんなことを聞いたことはありませんか?
「お盆に海に入ると死者に足を引っ張られる」
これは、「離岸流」を表している言い伝えのようです。
離岸流とは、海岸に打ち寄せた波がお気に戻ろうとするときに
発生する強い流れのことで、お盆の時期に多発すると言われ、
大潮と同じように水難事故の原因のひとつとなっています。
いつの間にか沖に流されて溺れたり、
たとえ水泳選手でも波に逆らって泳ぐのが困難だと言われています。
お盆の過ごし方
ここで改めて、お盆の過ごし方について考えてみましょう。
そもそもお盆とは、祖先の霊を供養する行事。
お盆の時期には、ご先祖様や故人の霊が家に帰ってくるので、
迎え火を焚いたり提灯にあかりを灯したりして霊を迎え、そして霊を送りますよね。
日本では、古来より
「お盆はご先祖様や故人を敬い、供養をするもの」と考えられてきたため、
そんなときに海へ遊びに出掛けるなんてとんでもない…という
イメージや考えが、言い伝えに大きく影響して、
今では「迷信」とまで言われるまでになったようです。
まとめ
迷信と言われればそれまでですが、お盆の時期に水難事故が多いのも事実です。
昔の人は、日常生活から潮の満ち引きや波の高さを推測し、今に語り継いできました。
文明の発展とともにさまざまな自然現象がメカニズムとして解明できるようになりました。
先人の知恵や教えを大事にして、現在を過ごしていくことはとても大事なことだと思います。
そして、先人がいなければ、私たちは今こうやって生活できなかったのです。
一年に一度、ご先祖様が帰ってくる期間です。
これまで無事に生きてきたこと・またこれからも見守っていって欲しいことなどを願いつつ、
故人に思いを馳せ供養するのが「お盆」ということを忘れないようにしましょう。