お盆休みで帰省すると、仏壇の掃除ついでにお盆の準備を
言い渡されることがあります。
お盆の準備といえば、なすときゅうりにつまようじや割り箸を刺して
動物みたいにしますよね。
実はあれは精霊馬(しょうりょううま)と言って
あの世からこの世へ先祖の魂を送迎する乗り物の役目を持っています。
ちなみになすが牛で、きゅうりが馬の位置づけとなっていて
きゅうりの馬にご先祖様が乗り、なすの牛に荷物を載せているという設定になっています。
他にも、足の速い馬に乗ってあの世からすぐにこの世に来てもらって
帰りはゆっくりと牛に乗って帰って貰うという意味合いもあります。
お盆で飾るなすときゅうり。宗派別に違いはある?
飾り方ひとつとっても、家の宗派毎に違いがあるようです。
特にお嫁さんにとっては実家とは違うやり方であることもあるので
教わりながらの場面もあると思います。
宗派別にみていくと、このように違いがあるようです。
○浄土宗
浄土宗ではきゅうりの馬、なすの牛、両方共用意します。
他にもお花やお菓子を用意して迎え火と送り火も炊くなど
よくある普通の準備をしています。
お盆の準備と聞いてイメージする代表的なものが
そのまま当てはまるような感じです。
もっと手間をかけて、季節の食べ物をお供え物として用意するところもあるようです。
その場合は白米やきんぴらごぼう、煮豆を使ってちょっとした霊供膳を用意します。
○曹洞宗
曹洞宗でも精霊馬は両方共用意します。
お供え物が多くなる傾向にあるので仏壇の前に小さなテーブルを
用意しておくと良いでしょう。
仏壇の両脇に提灯を置いて、お供え物の食事の下には「もこ」という
ものを敷きます。これはお盆の時期になればホームセンターなどで
売られるようです。
食事に関しては、青菜のおひたしやそうめんなど
動物性の食品を使わないものが良いでしょう。
他にもご先祖様が来るとのことなので、生前好きだったものを備えるという
家もあるそうです。
○浄土真宗
浄土真宗は精霊馬を用意しません。
さらに言うと、仏壇にお供え物を用意したりといった特別なこともしません。
というのも浄土真宗の考え方は
死者は亡くなると同時に阿弥陀様によって浄土に往生し仏になる
というものなので、普段はあの世をさまよっているわけではないからです。
供養するというよりも、ご先祖様への感謝を込めるといった意味合いが
強いようで、敢えてお盆の雰囲気を出す為に
仏壇周囲に盆提灯をつけるくらいでしょう。
自分の家はどうすれば良い?お盆のなすときゅうりの作り方や飾り方を地域ごとの違いを紹介。
基本的には帰省した先の宗派や自分の宗派に沿って行えば問題ないでしょう。
精霊馬の作り方は割り箸を適当な長さに切って
なすは牛に見えるように、きゅうりは反り返りを考えて馬に見えるように
作れば良いです。
最近ではSNSサイトに上がっているような、おもしろい形をした精霊馬も
よく見られますが、そこまで頑張らなくても良いので楽な心構えで
やってください。
馬よりバイクの方が速いでしょとばかりにバイクの形にしていたり
自分が作るかはともかく見ているだけでも飽きません。
精霊馬を置く向きとしては
お盆が始まった時には家に来て貰えるよう仏壇の方へ向けて
お盆が終わる時には無事に帰れるよう祈りを込めて外側へ向けるのが
一般的です。
仏壇から出てくるのではなく、普段の来客のように外から来るイメージで
考えるのが良いでしょう。
地域別にみると、精霊馬を作るタイミングが少し違ってきます。
・関東地方ではお盆入りの日に作り、終わりまでそのまま飾っておくところが多いです。
・東北・北陸地方では最終日に作り、お供え物と一緒に飾ってから処分する地域です。
・西日本ではそもそも精霊馬を作らないところあります。
ただ精霊馬の代わりに精霊船を作るというように、何も用意しないわけではないとのことです。
精霊馬の処分方法としては、普段のゴミと一緒に捨ててしまうのではなく
川に流したり、土に埋めるというのがどの地域でも一般的なようです。
ご先祖様が乗っているものですから、ゴミとして処分してしまうのは
悲しいですから、それが風流で良いでしょう。
都会のマンション暮らしで近くにお寺も無い場合には
塩で清めて処分するのが無難のようです。
お供え物は終わった後皆でいただきますが
精霊馬については、元は野菜だしもったいないからといってお供え物と一緒に
食べてしまわない方が良いです。
まとめ
地域の風習やその家の宗派など考えることは意外に多く
初めて用意する側としてはやり方を聞いておく必要がありそうです。
帰省したはいいものの、普段あまり交流がないばかりに義理の父母と接することが
難しいと考えているのなら、あなたが率先して行うことで交流のきっかけに
なるかもしれません。
せっかくのお盆ですから、元気な顔をみせることでご先祖様だけでなく
両親にも安心してもらえれば良いですね。