何年か前に、「ペットボトルのリサイクルは無駄である」という
説を唱えた評論家がいました。
今までの概念を覆されるようで、ドキッとした記憶があります。
この意見を巡って、賛否両論、メディアに持ちあげられるままに
さまざまな論争が巻き起こりましたが、
現在に至るまでリサイクル活動の根は途絶えることはありません。
スーパーにも、専用のペットボトル回収機が置いてありますよね。
リサイクルの方法は主に2種類あります。
リサイクルには元の物体によってさまざまな方法がありますが、
ペットボトルの場合は、「カスケードリサイクル」「水平リサイクル」の
2つのリサイクル方法があります。
「カスケードリサイクル」は、回収したペットボトルを
細かく砕いてフレーク状の原料にして、ペットボトル以外の
樹脂製品をつくる方法です。
「水平リサイクル」は、別名「ボトルtoボトル」と呼ばれ、
回収したペットボトルを原料(樹脂)に戻して再びペットボトルをつくる方法。
水平リサイクルでは、初期につくられたペットボトルと同様の
透明できれいなペットボトルが出来上がります。
まだ完全とは言えないでしょうが、技術の進化とともに、
ペットボトルのリサイクルは今や当たり前のことで、欠くことはできない活動でしょう。
ペットボトルのリサイクルのメリットって知ってます?
ご存知かもしれませんが、環境リサイクルには「3つのR」があります。
【知っておきたい環境を守る3R】
①リサイクル(Recycle)
…使い終おわったものを資源に戻して製品に戻すこと
②リユース(Reuse)
…一度使って使用済みになっても、ゴミにしないで何度でも使うこと
③リデュース(Reduce)
…むだなゴミの量をできるだけ減らすこと
この3つの中で、リユースとリデュースは、
さかのぼれば江戸時代から生活の中に取り入れられてきました。
生活が便利になって化学や技術の進歩とともに、
これまで負荷を掛けてきた環境を取り戻すべく、
その科学的技術をリサイクルに役立てているのです。
ペットボトルリサイクルのメリット
- ゴミの減量化につながって、
ゴミの埋め立て地を長く使うことができる
- ゴミ焼却の際に発生する二酸化炭素(CO2)を減少させる
- リサイクルによって減量を再生するため、
製品の原料として使われる新たな資源を節約することができる
- 環境問題に敏感になる意識づけができる
- 会社ぐるみでリサイクルに取り組めば
企業のイメージアップにつながる
【数字で見るリサイクルの効果】
ペットボトル1kg(500ミリリットル×33本)をリサイクルすると…
↓
◇原油に換算すると、1リットルのエネルギー使用量を削減できます
◇3.6kgの二酸化炭素が削減できます
【ペットボトルリサイクルから生まれる製品】
ペットボトルの原料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)という樹脂で、
化学会社では安全な原料を再生できる技術を確立し、
ペットボトルの他にあらゆる製品の素材に生まれ変わっています。
★食品用トレイ
★IDカード
★下敷き
★粘着ラベル
★バスの座席シート
★フロアーマット
★スクールバッグ
★スーツやネクタイなど洋服の繊維
★不織布 ・・・など
ペットボトルのリサイクルのデメリットって知ってます?
ここまで、リサイクルの良い部分を紹介してきましたが、
実際にデメリットがあるのも事実です。
【ペットボトルリサイクルのデメリット】
■コスト・手間がかかりすぎる
…リサイクル技術を確立しているものの、
資源に戻すまでにはコストと手間がかかります。
特に、回収したペットボトルをリサイクル工場に運ぶ物流コストに
お金が掛かります。
運搬するための人件費・トラックのガソリン、
またリサイクル工場のエネルギー源となる燃料コストも掛かります。
■加工するのにも資源を消費する
…資源に戻す際に、使用するのは
石油などのエネルギー資源のため、
結局再利用にも資源を消費してしまう、という
ことになります。
以上のデメリットから、「リサイクルは良いこと」という
前提に立っていながらも、問題点として挙げざるを得ないことも
また事実です。
しかし、リサイクルするということは、
一度使っただけでお払い箱にしないで再利用する…つまり
物を大切にする、という気持ちが育ちます。
リサイクルはもちろんですが、前述した、
リユースとリデュースすることも心掛けて
無駄な消費を減らして、ゴミを減らす努力をしたいものですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
エコ、環境問題は、何が正しくて何が間違いなのか、100%の答えはまだ出ていませんし、
これからもさまざまな面で折り合いをつけながら
取り組んでいくことになるでしょう。
でも、「取り組む」ということが大事なのです。
「ペットボトルはリサイクルに回す」――これはマストです。
それに加えて、リサイクルに回す前にペットボトルを
植木鉢などの容器にリユースしたり、
水筒を持ち歩いてゴミを出さないようなリデュースも心掛ければ良いのではないでしょうか。
千里の道も一歩から。
環境を守るためにも、地道に、コツコツとやっていきましょう。