経済再開がカギとなる
マカオカジノ関連銘柄への注目が高まっている。競馬や宝くじなどを除くカジノ総収入(Gross Gaming Revenue、GGR)は15~19年平均成長率6%で成長し、19年末に2925億パタカ(約4兆円)に上り、マカオGDPの66%に達した。しかし、新型コロナ感染症拡大の影響で、20年2月からマカオへの入境者数は急減、20年通年は19年の15%にとどまった。それに伴い、マカオのGGRは低迷。21年のGGRはやや持ち直したが、22年は厳格なゼロコロナ政策による都市封鎖で19年の14%に再び減少した。
22年12月に、中国政府はゼロコロナ政策を撤廃するスタンスを示し、23年1月8日から3年ぶりに中国本土と香港からのマカオ訪問が解禁された。23年の春節期間中(1/21~27)、マカオへの入境者数は前年同期の約4倍に急増し、19年同期の38%まで回復した。23年1月のマカオのGGRも20年2月以来の最高水準に達し、19年同月の46%まで拡大した。
米国のラスベガスを見ると、ウィズコロナ前(21年3月)の1年間のラスベガス旅客数は19年の35%だったが、その後1年間で19年の81%へ回復した。それを参考にすると、マカオのGGRは旅客数の増加に伴い23年末にかけ19年の約8割まで回復すると予想する。
カジノは新たな段階に入る
カジノ会社がカジノ事業を運営するには、マカオ政府が発行するライセンスが欠かせない。ライセンスは業者が設置できるカジノテーブル、スロットマシンの台数などを規定。22年12月16日にマカオ政府は現行の6社に23年から10年間のカジノ事業継続を許可した。
なお、2015年以降のカジノ各社のシェアの推移を見ると、新濠国際発展(00200)とMGMチャイナ(02282)のシェアが16年比で各々19%、11%に上昇した一方、他4社は減少し、パフォーマンスに明暗が分かれた。
マカオ政府はカジノを中心としてレジャー産業の多角化、旅客の誘致を推進している。政府はライセンスを獲得したカジノ6社にホテルなどの非カジノ分野へ1087億パタカ(約1.8兆円)の投資を要請した。また、中国政府は17年から香港・マカオ・中国の広東省の3地域を統合し、35年までに世界有数のベイエリアの建設を計画している。35年に同エリアの空港処理能力は4.2億人/年に達すると予想される。その中で、マカオは世界旅行レジャーセンターとして位置付けられ、インバウンド需要も高まると見込まれる。それに伴い、カジノ市場の拡大に寄与すると考える。
(投資情報部 呉)
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