子どもが中学生になったら楽しみなことのひとつが、部活が始まることです。
しかし、これが中学生の悩みになるときもあります。小学生だった頃に比べて、
自分の自由な時間が少なくなる。勉強も難しくなって、宿題もすぐには終わらない。
さらには先輩や後輩、顧問の先生、他校の生徒など、人間関係は広がります。
「楽しみにしていた部活だったのに・・・。」子どもが部活で悩みを抱えたとき、
親はどこまで、どのように関わってあげたらいいの?と悩んでいる方へ。
中学生の部活動。親の関わりはどこまですればいいの?
中学生は「大人の入口」です。あと3年で義務教育が終わります。
その後は、自分で自分の道を決めていかなければなりません。
そのことを考えて、「自己選択・自己責任」を大切にしていきましょう。多くの学校では、
部活は「自由選択」(どの部に入るか、部活をやるかやらないかは子どもの自由)となっています。
まずは「中学生だから部活はやるもの」と安易に周囲に流されるのではなく、
部活をしたらどのくらい忙しくなるのか、中学校での宿題はどのくらい多いのか、
部活をやりながらそれをこなしていけるのかを、入部前に親子でじっくり話し合っておきましょう。
ちなみに、部活をやらせる上で親が考慮しておかなければならないもあります。
部活には道具やユニフォーム、遠征費など、お金がかかる場合があります。
さらには、送迎当番やお茶当番など、保護者会でやることがある部もあります。
親がそういったことに協力できるかも、できれば話し合っておくと、
子どもは感謝の気持ちをもって部活をすることができるでしょう。
その上で、覚悟をもって「部活をやりたい!」と子どもが言うのであれば、
親として背中を押してあげてください。これが「自己決定」です。
部活を始めてからは、親は「縁の下の力持ち」です。
部の方針に従って活動していくことになりますので、基本的には顧問の先生に
お任せするということになります。
よくあるのが、その部の経験者である親が、部の方針に口出しすること。
しかし、学校の部活は学校教育の一環として行っているため、
顧問は学校生活全般を考慮して部の方針を決めています。
もし、部の方針に疑問をもつことがあれば、子どもに言うのではなく
(子どもは言われても困るだけです)こっそり部の顧問と話す時間をもちましょう。
子どもは、部活も含め学校でいろいろなことを我慢しながら生活をしています。
大人が会社でストレスを感じるように、子どもは学校で少なからずストレスを感じています。
そんなときは、親が「ガス抜き」の存在になってあげると、子どもも少しずつ、
自分の中でバランスを整えながら学校生活を送ることができます。
「中学生になってから何も話してくれなくなって・・・」という家庭もあると思います。
でも、何も話したくない子どもはいません。思春期特有の、親から距離を置き、
「弱い所を見せたくない」という気持ちが働いているだけです。
それも、大人への一歩です。そうであっても、「今日はどうだった?」と聞いてもらえることが、
子どもにとっては安心感につながります。「べつに」という答えしか返ってこなかったとしても、
それが「実は・・・」という答えに変わるときがあるかもしれません。
一日に一度は「今日はどうだった?」と声をかけてあげましょう。
中学生の部活を子どもが辞めたいと相談されたら親ができることとは?
子どもが「自己決定」で始めた部活ですが、「辞めたい」と思うときが来るかもしれません。
日本は「継続は力なり」のことわざのように、ひとつの物事を続けることに
価値を見出す傾向にあります。しかし、現代社会はスキルアップのための転職も
珍しくない風潮になってきました。
欧米では、クラブ活動は毎年(もしくは季節ごとに)いろいろなクラブに所属し、
いろいろなことを経験してきたことを評価されるという風潮もあります。
ですから、「自分で決めたのだから、最後まであきらめるな!」とは一概に言えないと、
筆者は感じています。やってみた結果、想像とちがった、なんてことは大人にもあることです。
大事なのは、「辞めたい」と思った理由と、その後の辞め方です。
まずは、なぜ「辞めたい」と思ったかを、丁寧に聞いてあげましょう。
最初は、無意識に自己防衛が働いて「建前」の理由を話すかもしれません。
親として納得のいかない理由だったら、入部前に親子で話し合った「覚悟」
を思い出させてあげてください。そうすれば、本当に辞めたい理由を話すかもしれません。
それでも「辞めたい」という気持ちが変わらず、親としても納得できるのであれば、
それも「自己決定」として受け止めてあげましょう。
気持ちが変わり「やっぱり頑張る!」と言えば、これまでと変わらず支えてあげればいいですね。
つぎに大事にしたいのは「辞め方」です。部活を辞めるというのは自分だけの問題ではなく、
部全体に関わることです。
最近では、会社ですらメール一本で辞めてしまう若者がいるというのに驚きます。
中学生にとっては、それではいけないということを学ぶよい機会がこういうときです。
「退部届」を担任や顧問から受け取り、学校でも家庭で話したことと同じことを伝え、
退部届に親からサインをもらい、顧問に手渡す。そして、部の仲間に自分から伝え、
きちんと挨拶をする。会社でも同じことをします。
中学生だからそのステップを大人が代弁してあげる、というわけにはいきません。
それが「自己責任」です。
まとめ
何かを「辞める」という経験は、大なり小なり「挫折」として自分の中に残ります。
それを乗り越えて強くなれるかどうかは、自分でどう後処理をしたかにかかっています。
苦悩や挫折を味わわない人生がいいとは限りません。
どんな経験も自分の糧にして成長していける子になるために、親としても支えていってあげたいものです。